◆今回の金環日食について、Q&Aをまとめました。

電離圏への影響の予測数値シミュレーションは、正しく予測できたと考えてよいですか?
確認が必要と思いますが、以下のリアルタイム観測とは大体合っているようですので、ほぼ正しく予測できたと言っていいと思います。
今回の日食による電離圏の変化は地上のカーナビを含めたGPSシステムに何か影響がありましたか?
ありません。

GPS電離圏観測ですが、動画像のどの部分が日食の影響ですか?
準リアルタイムのTEC変動2次元マップでは皆既日食の時ほどはっきりとした変動は見られません。TEC絶対値データを静穏時と比較するなど、少し解析が必要です。緯度別時系列TECプロットでは、UTの20日22:30付近でどの緯度でも背景TECより数時間TEC減少が見られますので、おそらく日食の影響と思われます。

イオノゾンデ観測ですが、画像のどの部分が日食の影響ですか?
イオノグラム自動読み取り値の国分寺、5月21日7時半あたりでfoF2が2,3時間程度減っていますので、日食に対応するものと思います。 手動読み取り値を使ってプロットを作成する必要があると思います。

日食の際の光学画像で月のヘリが映っていますが、この凸凹は月の表面の凸凹だと思ってよいですか?(それとも、カメラの解像度の限界からくる揺らぎですか?)
これらは、撮像カメラ解像度の限界および地球大気の影響による揺らぎを考慮しても有意な凹凸であり、月表面の地形を反映したものと考えられます。

ベイリー・ビーズ(Baily's beads)は観測されましたか?
観測しておりません。金環日食当日、平磯太陽観測施設のHα光学望遠鏡は、2分間隔の自動撮像モードで運用していました。 ベイリー・ビーズは、撮像設定時刻の合間の時間帯に発生したものと思われます。